失活歯と共存するために
近年、歯科医療は「歯だけを見る医療」から、
「口腔と全身のつながり」を重視する医療へと大きく変化しつつあります。
その中でも近年、特に注目されているのが「失活歯(神経を失った歯)」です。

ただし、これはまだ議論の多い分野であり、
「すべての失活歯が悪い」「すべて抜歯すべき」
という意味ではありません
もちろん、明らかな感染や大きな病変がある場合には、
再根管治療や抜歯などの局所治療が重要です。
しかし一方で、「できる限り歯を残したい」「抜歯にはまだ踏み切れない」
「全身への悪影響を少しでも抑えたい」という患者様も少なくありません。
そのため当院では、単に「抜く・残す」の判断だけではなく、
「身体側の回復力を高める」という視点を重視しています。
失活歯と全身の健康との関係については、現在も研究と議論が続いています。
一部の統合医療・生物学的歯科では、失活歯周囲に慢性的な炎症が存在する場合、局所で産生される炎症性物質や活性酸素が、全身の酸化ストレスやレドックス(酸化還元)バランスに影響を及ぼす可能性が指摘されています。
活性酸素の増加
酸化ストレスの亢進
ミトコンドリア機能
への影響
細胞エネルギー産生
の低下


ただし、これらの変化がすべての失活歯で起こることや、失活歯単独が全身疾患の直接的な原因となることについては、現時点では十分な科学的合意は得られていません。
そこで近年注目されているのが、腸内で水素を発生させるサプリメント、エルゴチオネイン(EGT)、グルタチオンパースルフィド(GSSH)、NMNなどによる、細胞レベル・ミトコンドリアレベルへのアプローチです。
これらは、「失活歯そのものを治す薬」ではありません。しかし、慢性炎症による酸化ストレスへの対策や細胞エネルギーの維持、ミトコンドリア機能サポート、歯周組織の修復環境サポート、全身の炎症負荷軽減、エイジングケアという意味では、非常に理にかなった考え方といえます。
失活歯の問題は、単に歯の神経の問題ではありません。
近年では、慢性炎症や酸化ストレス、ミトコンドリア機能など、
老化に関わる要素との関連も注目されています。
そのため失活歯への対応は「抜く・残す」の判断だけでなく、
炎症を抑え、細胞やミトコンドリアの働きを支えながら
身体が回復しやすい環境を整えるという
「全身とのつながり」を考慮した視点も重要になってきています。
当院では、単に「削る・抜く」だけではなく、
「口腔と全身とのつながり」という視点から
歯と全身の健康を総合的に考えています